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先生ブログ

O君の成長 2/4 - 自習は嫌だッ!-

緒方 大揮

2023年03月21日 0:30

1.駿英ゼミナールの「自習」とは

 

 見落とされがちな事実だが、どんな塾に行っていたとしても、授業を受けるだけで成績をあげるのは不可能である。授業は主に「正しい方法」を伝える場だが、せっかく知った正しい方法も身につけて使いこなせるようにならないと意味がない。

 そして、知識や技術を身につけるには反復的な練習が必要であり、これは自分でしないといけないのだ。

 そこで、駿英ゼミナールでは、小学6年生以上の生徒は塾で「自習」することを義務付けている。

 毎週最低1回以上、1回あたり原則1時間以上。

 先生と約束し、決まった曜日に塾に来て自習をするのである。

 

1-1.塾に来て自習をするメリット

塾での自習にはたくさんのメリットがある。

塾にはゲームもテレビも無いから、家で誘惑と戦いながらする勉強よりずっとはかどる。

勉強場所の確保や騒音などを巡ってキョウダイ喧嘩になることもない。

 

 さらに、どうしてもわからないところがあれば、先生がいるのだから気軽に質問することができる。 

 また、自習を具体的にいつ・どのように進めてゆくかは生徒本人の自主性に任されているから、自分で勉強を計画し、実行し、軌道を外れたら修正する力を身につけることもできる。

 生徒の自習は各自で記入する「自習シート」に記録が残るので、後で見返すと自分自身の頑張りを実感することもできる。もちろん、先生たちは生徒の自習の様子や自習シートを見ているので、彼らの「頑張り」をよく認識しているし、もしまずいところがあればアドバイスをすることもできるのである。

さらに、親御さんにとっては、「勉強しなきゃダメでしょ!?」と叱る機会も減る。

家庭円満にも貢献するのだ。

1-2.短期的には楽ではないが…

ただし、「楽」ではない。生徒たちは学校で授業を受け、部活に行き、それから塾に来る。日によっては、塾でさらに80分~120分の授業を受けた後に自習をする。慣れるまではキツいと感じることも多いようだ。

 しかし、続ければ必ず慣れる。あれこれ考えなくても自習に毎週行くのが当たり前の習慣になる。しかも続ければ続けるほど、自習のメリットを生徒本人が実感する。そうなれば、かつてはどんなに自習が嫌で嫌でしかたがなかった生徒でも、自分から塾に来て勉強するようになるのである。

 

 高校入試や大学入試を多くの子供が経験する。つまり、彼らはいずれプレッシャーと闘いながら大量の勉強することになる。そもそも勉強する習慣がなかったなら、勉強量を確保できるはずがない。

 中学2年まで1日30分も勉強していなかった子が中学3年生になった途端、目を輝かせながら毎日3時間だの4時間だの勉強するようになるだろうか。残念ながら、人間は勉強する必要があると認識して、しかも勉強のためにとる行動を習慣にしないと、そんなにたくさん勉強はできないのである。

 結局、塾で自習して勉強する習慣を作ることは、長期的に見れば間違いなく楽をすることになるのだ。

 

 

2.自習を増やしたくない!

2-1.中学生のテスト範囲は問題集100p超!!

 O君は自習しに来る日を増やすかどうかで迷っていた。「O君の成長1/4 現在のO君、中学1年生。」から遡ること6週間、学年末試験4週間前である。

 テストの範囲は中学生にとって、かなり広い。

 学校に提出する問題集(ワーク)のページ数は、5教科で延べ120~150p程度にもなる。これを13~15歳そこそこの子供が1学期に2、3回ある定期テストのたびに終わらせて、覚えて、試験に臨むのである。しかもワークの取り組み方が丁寧かどうかは、内申点を決める材料になる。雑にやるわけにはいかない。もちろん、「終わらなくて提出できない!」など論外だ。(中学1年、2年の内申点も、公立高校入試に大いに影響する。)

 定期試験の準備に使える期間は4週間程度。それに試験1~2週間前までは部活があるので、時間は限られる。よって、計画的な準備が必要であり、効率的に対策を進めるためにも「自習」を増やすことはどうしても必要である。

 O君は小学6年生以来毎週1回自習に来ていた。しかし、それではまだ勉強時間が十分でないことは明らかであった。

 自習のメリットや中学校の定期試験の範囲が広いこと、彼の自習時間が今のままではどう考えても足りないことを伝え、自習に来る回数を増やすように勧めた。

「…というわけで、自習は週に一度だけだと足りないと思うんだ。来週からどうしようか?」

「うーん… 3回来ます。ああでも、どうしようかな…」

「迷うなら、まず来週は試しに3回来てみて、それから調整するのはどうだろう。もし3回実際にやってみて続けられなさそうなら2回にしよう。これでどうだろうか。」

「わかりました、そうしてみます。」

2-2.「ずっとゲームをしていたいです」

次の週。自習の記録を見ると、彼は1回しか来ていない。

 

「O君、試しに自習に3回来てみるということを約束したよね。でも、来ていないのはどうして?」

「…」

「これからずっと毎週3回来いということではないよ。そうではなくて、1週間だけ試しに3回来て、その経験をもとにして回数を調整しようということも言ってあるよね。」

「…」

「O君は来なくても良い、大丈夫だと思っている?」

「…いいえ。」

「自習が辛い、めんどくさい、そう思っている?」

「…はい。自習なんかしたくないしずっとゲームをしていたいです。嫌です。来たくありません。

「じゃあ、自習をしないことにしようか。もしそうしたらO君は将来どうなると思う?」

「…」

「O君は自分で「する」といったことをめんどくさいから、なんだか嫌だからといって、しなかった。自分でそうすると言ったことを守らなかったわけだ。これがずっと続くならO君は君自身のことを信じられるだろうか?

「…」

「それでもいいのかい。」

「…嫌です。」

「来週は必ず3回来なさい。実際に試してみて、それから回数は調整する。あらためて約束しましょう。」

2-3.「無理です」

また次の週。今度は2回来ていたが、やはり3回には足りない。

「O君、約束は覚えているよね。」

「…はい…3回来る約束でした…。」

「2回来たのは、前よりは増えたという点で評価できるよ。ただ、これは約束を守ったことにはなるだろうか。」

「…なりません」

「来週、必ず3回来なさい。」

「でも先生、嫌です!本当に嫌です!無理です、僕にできるわけがないです!

「必ずできる!O君、いまの君は問題から逃げている。やるかやらないかで君は気分に負けて「やらない」を選んでいるだけだ。それは君自身の信用を傷つけるし、気分に負け続けるなら自ら自分の将来を壊してしまうよ。ここで一度やってみろ!絶対にできるから。もし君ができるわけがないと私が思うなら、初めから止めている。しかし君はできると見込んでいるから約束した。簡単ではないにしても君ならばできるはずなんだ。」

O君は目に涙をためて帰って行った。

 

3.たかが自習?

 たかが自習ぐらいでこんなにアツくなる必要はない、O君が可哀想じゃないか、という意見もあるだろう。

 しかし「自信」すなわち「自分のことを信頼できること」は、大小の困難を乗り越えて生きてゆくために必要である。そして自信は、子供のうちの様々な(多くは大人にとってあまり重大とは思えない)経験の積み重ねによって育まれるのである。

 もしここで「うんうん、大変だもんね〜。しょうがないよ〜。」で済ませてしまったら、O君は「約束したけどなんかきつそうだったし、やらなかった」という体験をする。これでは、頑張ればなんとかできることをそもそも頑張らない、自分なんかに頑張れるわけがないと考える態度を身につけてしまうのだ。知らぬ間に自信と真逆の、「自己不信」を大きくしてしまう。

 重要なのは、大きなことでなくとも良いから、自分が「する」と決めたことを最後までやり切る体験である。確かに、「自信」は大人になってから育てるのも可能だが、「自分を信頼できない」状態で自分の将来を考えたり、困難に打ち克ったりするのは難しい。「頑張ったってどうせ俺には無理だもんね」と漫然と思っている人が、自分の望む人生に向かうのはほとんど無理である。子供たちにそんな、自分で自分の足を引っ張るような信念を持ってもらう必要はない。

学年末試験まであと約2週間。さあ、O君は決断できるのか。

次回に続く。

《次回》O君の成長 3/4 - 自習するのも悪くない -

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