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先生ブログ

O君の成長 3/4 -自習をするのも悪くない-

緒方 大揮

2023年04月02日 12:06

1.沼影校舎の奇跡

O君は先々週、先週の2週間、「週に3回塾で自習する」という約束を果たせないでいた。

今週が「三度目の挑戦」である。

さてどうかな、とO君の自習シートを見ると、

 

彼は3回来ていた。

 

目標を達成したのである。

 

授業後、O君を呼んで話を聞いた。約束通り週3回の自習を完了したから、今後回数をどうするか話し合う。

 

「O君、よくがんばったね。自分の中の、やだなあとかめんどくさいなあとかいう気持ちに負けずに行動するのは、大人にとっても簡単じゃないことだよ。」

「ありがとうございます。」

「来週から何回にしようか。前に言った通り、これで続けるのがキツ過ぎたら2回に減らしてもいいよ。」

「うーん、そうですね… 今週3回来てみましたが、意外と大丈夫でした。だからまず試験前までは、このまま3回で続けます。良いですか?

「…へ????」

意外な返答である。

 

前回の記事「O君の成長 2/4 自習は嫌だッ!」にある通り、彼は自習を増やしたくなくて仕方ない様子であった。だから、「もうこんな大変なのは勘弁です、せめて2回に減らしてください」などと懇願してくるだろうとばかり思っていたのである。

 

その彼が、「週3回の自習を続けたい」とは…!

 

2.なぜ続けようと思ったのか?

気になったので、理由を尋ねてみた。

 

「もちろん、続けるのはOKだよ。ところで、理由を聞いても良い?」

「もともと週1回来ているときは、3回なんてすごく大変そうだなあと思っていました。それが、先週2回自習に来て、2回にしても(約束には足りなかったけれど)できなくはないなと思ったんです。そして今週3回来ました。時間は限られているけれどすごく集中できたから、宿題などよく進んだんです。それに、想像していたほどはキツくありませんでした。

「なるほど、そうだったのか!O君自身が実際に試してメリットを体感できた、これはすごく大きなことだよ。そしたらまた来週からも、がんばりましょうか。」

「はい!」

O君は彼自身の「嫌だな、めんどくさいな」そして「自分にできるかどうか分からない」という気持ちに勝って、目標を達成できた。

その上、自分で体験してみた上で、週3回の自習を続ける選択をしたのである。

 わずか3週間ほどの間の出来事であったが、彼にとって、彼自身の「勉強の取り組み方」を考える上で、とても大きな達成であった。

 

3.子供の自信を育てるために

 

 大人にも言えるが、何かの目標を達成することは、その人に変化をもたらす。

 特に子供は、出来事自体が小さくても、目に見えて変わってゆく場合も少なくない。

 

 何が変わるのか、とても大まかにいうならば、「自分は自分の力で、自分の人生を動かせる」という感覚を手に入れるのである。これが「自信」である。

3-1.大切なこと

 ただし、目標ならなんでも良いわけではない。

 特に、目指す目標が「自分が決めたもの」であることと、「自分が頑張ってゆく」ことが重要だ。

 これらには細心の注意を払わないといけない。なぜなら、大人は簡単に(そして無意識に)子供の意志決定に踏み込んで、目標も頑張りも「子供自身のもの」ではなくしてしまうからである。

 

 O君の場合はもっとも重要な、「自分で目標を決める」点と「自分の責任で目標を達成するべく頑張る」点を押さえられた。

 講師が手を加えたのは、目標の設定の方法と、頑張りを見守ってペースをある程度管理するところまでである。だから彼にとって、自習に3回来られたということは、紛れもなく彼自身の力によって成し遂げられたことなのである。 

3-2.自信が育ちにくい場合とは

 しかしもし、彼ときちんと話をせず、彼が決めるのでなく大人が「お前は来週から3回来いよ」と単純に決めてしまっていたらどうだっただろう。

 まず、彼はなぜそれを頑張らないといけないのか理解できない。「なんか良いらしい」と頭でわかっていたところで頑張れるはずもない。自分の目標ではないからである。

 それで達成できないと「それじゃダメだ!頑張れ!」と叱られて、訳のわからないうちに「自分は(よくわかんないけど)ダメなんだ、頑張れないんだ」と変な思い込みを持つ。自信は削り取られる。

 

 しかも、もし3回来られたとしてもまずいことになってしまう。

 達成して、大人から「よく頑張った!!さすがだ!!」と褒められたとしよう。しかし、彼はスタート時点からしてもう「自分の力で成し遂げた」とは思えないのだ。達成した目標は、自分で決めたものではないのだから。彼にとってはあくまでも、大人の言う通りにさせられただけなのである。自信は育たない。

 もっといえば、「大人に頼らないと自分はダメなんだ」とこれまた変な思い込みを持ってしまう可能性さえあるだろう。自信は育たないばかりか、弱められてもおかしくない。

 

 子供の自信を育てることは、子供が自分で考え、動き、自分自身の人生を生きる、つまり自立するために極めて重要だ。そのためには、子供自身が設定した目標に、自ら頑張って迫ってゆくことが大切なのである。

《次回》O君の成長 4/4 - これからのO君 -

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